天野です。本日のアウトプットです。
このブログは、「慢性腰痛は患者先行型治療で治すべき」という基本的な考えのもと、書き進めています。患者先行型治療とは、患者自身の努力で治すやり方です。医師や整体師さんは、あくまでサポート役だと考えましょう。
さて・・・
あなたは、腰痛治療に「痛み止め」を使ったことがありますか?注射や塗り薬、飲み薬など、種類はいろいろあるので、どれかは使ったことがあるかもしれません。
もしあなたが痛み止めを使ったことがあるとすれば、その感想はどうだったしょうか?案外、効きますよね。僕も使ったことがあります。僕の場合は、病院で処方されたロキソニンです。すごく痛かった腰の痛みが、飲んだ後の数時間は引いていったので、かなり驚いたものです。
痛み止めは間違いなく、あなたの腰痛治療にとても役立ってくれるでしょう。ただし、それには条件があります。その条件を外してしまうと、かえって悪化させてしまうことになります。
その条件とは・・・
長期間使わないこと
です。詳しく説明しますね。
痛み止めは、長期間、使用すると危険です!
痛み止めには、副作用のリスクがあります。わずかな期間、使っただけでは、あまり問題になりませんが、長期間使うと、副作用の度合いが大きくなります。激しい倦怠感を伴うなどの、腰痛とは関係ない副作用はもちろん、直接的に腰痛にもかかわってきます。つまり、かえって腰痛が悪化してしまうのです。
つまり、腰が「痛み止めがないとダメな状態」になってしまう、ということです。ずっと飲み続けなければならなくなります。
しかし、飲み続けると、だんだん依存症へと移行していきます。有名な話に、タイガー・ウッズのケースがあります。
タイガー・ウッズは、腰痛に苦しむあまり、痛み止めを濫用するようになりました。そして・・・
2017年5月、フロリダ州の路上で車の中でもうろうとしていた状態で警察に発見されました。飲酒運転の疑いがあるということで警察に逮捕されました。
調べてみると、お酒だけではなく、痛み止めの薬も飲んでいたことが発覚しました。この薬は、米国内で多くの人が依存症にかかって問題になっているものでした。
タイガー・ウッズは、目の焦点が定まっていない、危険な状態でした。その写真は公表され、世界中に衝撃を与えました。痛み止めの依存症による影響が大きかったのです。
このように、痛み止めというものは、依存症になるとかなりのリスクが伴います。薬の種類によっては、生命の危険にさらされる場合もあります。
また、80年代を代表するアーティスト(シンガー)のプリンスが亡くなった理由も、痛み止めの依存症にあると言われています。
もちろん、日本は医薬品の規制が厳しいので、アメリカほど極端なことはあまり起こりません。ですが、それでも「続けて摂取すると危険だ」ということにかわりはありません。
(タイガー・ウッズもプリンスも、使用していたのは強力なオピオイド系の鎮痛剤だといわれています。オピオイド系の鎮痛剤の依存症は、アメリカでは社会問題になっています)
しかし、短期間の使用なら有効
上で述べたとおり、痛み止めは、長期間、使うと危険です。でも、短期間なら、むしろとてもいい効果をあなたにもたらしてくれます。
特に、急性腰痛には有効です。慢性腰痛でも、一時的に痛みの度合いが増えたときに短期間だけ使うのは有効です。
事実、僕は、病院で処方された痛み止め「ロキソニン」を飲んで一時の痛みをしのぎました。それだけでなく、最終的に完治へ向かっていくのにとても役に立ったと感じています。具体的には、以下のようなメカニズムですね。
- まずは薬で一気に痛みを引かせる。
- そうすることで体力が回復する。
- 体力が回復するから、自然治癒力が働く。
こういう論理で、痛み止めは腰痛を完治に向かわせるのに役立つのです。やはり、痛いままだと、苦痛に耐えなければなりませんからね。これでは、かなりの体力を消耗してしまいます。こういう状態では、治るものも治らなくなります。
しかし、とりあえず痛みを取ってしまえば、忍耐力が必要なくなった分だけ、エネルギーが余ります。その「余ったエネルギー」いわば「元気」が、腰の痛みを取っていくのです。
結論!
痛み止めは、正しく使えば腰痛治療にとても有効です。よく、「痛み止めは一時しのぎでしかない」とか「臭いものにフタをするのと同じ。逆に悪化させるだけ」と言われますが、その見方は正しくありません。
たとえ「臭いものにフタをした」状態であったとしても、痛みからほんのひととき、解放されます。痛みがなくなれば、心も体も元気になります。なので、自然治癒力がわきあがります。
痛み止めは、自然治癒力を高めるために使うのが本来のあり方です。
もちろん、連続して使うのはダメです。使い続けていると、今度は依存症になってしまいます。あくまで急場しのぎで使うべきです。
うまく使っていれば、腰痛治療にとても有効ですよ。
以上、天野からの、あなたへのアウトプットでした。頑張っていきましょう!
(なお、今回の記事は、井尻慎一郎氏の著書「曲がる腰にもワケがある:整形外科医が教える、首・腰・関節のなるほど話」を参考しつつ、僕の経験をまじえてアウトプットさせていただきました)